フレンチの名店「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」にて、厨房を率いる朝比奈シェフ。
今年2月パリで開催されるフレンチシェフの大会「プロステールモンテルニュ」の日本代表シェフとして招聘される実力派。花贈りについて伺うと、精悍な雰囲気からはちょっと意外なほどロマンティストな一面も!
- 女性にお花を初めて贈った時のことを覚えていらっしゃいますか?
- すごくよく覚えています。高校時代にアルバイトしていた洋食レストランのシェフが、惚れぼれする素晴らしい料理人で、その方に憧れてこの道を志しました。高校卒業と同時にホテルに入社したのですが、当時はバブルの絶頂期で、一ヶ月に500時間働くほど忙しい時代でした。
妻とは27歳の時に結婚しましたが、その下積みの大変な時代もずっと支えてくれていて・・・
20歳の時、彼女の誕生日のお祝いに花を贈ってあげたくて。ホテルのレストランの仕事も終わる時間が遅くて、その頃には花屋さんも閉まっているので、昼間に行って何とかならないか相談してみたんです。そしたら、お店の前に段ボール箱を置いてその中に花束を入れておいてあげるからって。そして、デートの帰り道に大通りで車を止めて、花屋さんの前まで花束を取りに行って、車の中で待っていた彼女にプレゼントしました。すごく喜んでくれましたよ。
お花って贈られた側も嬉しいと思いますが、贈る側も幸せになれる、それがすごく素敵だと思うので、僕は花を贈ることがすごく好きなんです。今でも妻の誕生日と結婚記念日、そして娘の誕生日にも必ず花をプレゼントしています。
- どんなお花を贈られるのでしょう?
- 僕は花は自分で選びたいタイプ。花の名前を聞きながら買います。
そうだ、思い出しました(笑) どうしてもやってみたい花贈りがあって・・・結婚前のことなのですが、何十本ものカスミ草の真ん中に赤いバラ一本っていう花束を贈りたくて実際にやってみました。どうしてだったかは覚えてないんですけど、きっとその贈り方がかっこいいな、って思ってたんだと思います。
- ロマンティストでいらっしゃいますねえ(笑)
ちなみに、花束を持って歩いたりすることは恥ずかしくはないのでしょうか? - いや、ぜんぜん。むしろ昔から花を持つのが好きですね。
小さな花束じゃなくて、長い花束を肩に背負って持つのが自分に似合うと思ってるんです(笑)
しかもいろいろこだわりがあって、花を包むラッピングの紙とかいらなくて、手で持つ部分はすっと細い花束がいいんですよね。 - おおー、そのこだわりは職人さんならではですかねえ(笑)
ちなみに、ホテルで経験を積まれメインキッチンシェフにまでなられて、その後こちらのフレンチレストランへ転向されていらっしゃいます。どんな経緯だったのでしょうか。 - 料理人としてもっと上を目指すには、最高の料理人のもとで仕事をしたいと考えました。当時すでに子供が二人いたので正直悩みましたが、思い切ってロブションに飛び込みました。
料理に対する気持ちも何も全てが、180度変わりましたね。
- ほんとに素敵!ロブションさんは女性にとって、ときめきのレストランですね。
- フランスでもイタリアと同じように3月8日はミモザの日ということで、ロブション氏自身も女性のお客様にミモザの花をプレゼントします。
女性のお客様に喜んでいただくために、最近は食べられる花を前菜やメイン料理にも添えます(写真のプレートは取材中にシェフがさっと用意してくださったものです) この花もこだわって産直しているんですよ。料理を五感で楽しんでいただきたい僕のスタイルに合っていてとても気に入っています。花のあるスペシャルな一皿で、女性の表情も華やぎます。花にはそういう魅力がありますよね。
- 朝比奈シェフ、素敵なお話ありがとうございました!目の前でご披露いただいた花あしらい、本当にときめきの一皿ですね。特別な記念日に選ばれるレストランでは、セレブレーションの瞬間にいつも花がある・・・極上フレンチと花の素敵な関係だと思います。
(取材&TEXT N.OGAWA PHOTO T.SASAKI)
恵比寿ガーデンプレイスの高台に立つ瀟洒なシャトーレストラン。
エレガントな佇まいに、誰もが胸を躍らさずにはいられません。
一皿一皿に、シェフの思いが込められた繊細で芸術的な料理で、
訪れる全ての人をハッピーにしてくれる夢のような空間です。
ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション
【住所】〒153-0062東京都目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス内
【TEL】03-5424-1338